尼子騒兵衛先生所蔵の忍者用具551点を和歌山県九度山町に寄託
尼子騒兵衛先生所蔵の忍者用具551点を和歌山県九度山町に寄託されたことが明らかになりました。
代表作「落第忍者乱太郎」や、それを原作にアニメ化された「忍たま乱太郎」で知られる兵庫県尼崎市在住の漫画家、尼子騒兵衛さんが28日、自身の事務所が所有する忍者用具など資料551点を和歌山県九度山町に寄託した。講演の帰りに良い鎖かたびらを古美術店で見つけ、ギャラを含めた有り金全てをつぎ込み、昼食を抜いた――などという熱心さで収集。執筆に生かしてきた資料の寄託先は、真田信繁(幸村)ゆかりの地だった。
町は戦国武将、幸村らが関ケ原の戦いの後、閉居した地。幸村ら真田氏は忍者を駆使し、巧みに情報収集をしたとされる。講談などの物語でも「真田十勇士」として猿飛佐助、霧隠才蔵といった忍者が登場する。
寄託品は町内の展示施設「九度山・真田ミュージアム」で保管や活用をする。尼子さんは「忍者用具としてはまとまった資料で、日本一と自負している。忍者とも縁のある良い場所で、活用していただければうれしい」と期待していた。
町役場であった寄託式では、手裏剣や火縄銃などの資料が披露された。その他、忍び装束、鎖かたびらなどがあるという。この日、206種類の名称などを記した目録を岡本章町長に手渡した。
資料の中心は約30年前に忍者研究の第一人者だった名和弓雄さん(故人)から譲り受けたもので、尼子さん自身も古美術店で火縄銃などを購入したという。1986年から2019年まで朝日小学生新聞に連載した「落第忍者乱太郎」を描く際の参考にするなどした。尼子さんは「忍者は証拠を残さない。いつの時代に、誰が使ったものかは分からない」と説明した。
今回の寄託は、ミュージアム名誉館長の北川央さん(61)に相談して決めたという。北川さんは2022年3月末まで大阪市の大阪城天守閣館長を務め、尼子さんと対談をしたほか、作品の時代考証の相談を受けるなど約30年間交流を続けてきた。ミュージアムでは17年に尼子さんのカラー原画や忍者用具の一部を展示したことがあり、北川さんは「今後、資料を生かした企画展を考え、尼子さんの原画と組み合わせた展覧会をできれば」と話した。【藤原弘】